よくあるご質問
決算と繰越
2022.04.05
次年度へ残る資産(現預金)をどのように決算書に表示するのか
期末日に現金や預金残高は通常は残ります。
これをどのように表現するかは、以下の2とおりが考えられます。
1.決算書の「当期収支差額」が「収入」-「支出」で計算されて表示されますので、これを別途「当期末の収支差額は次年度へ繰り越します」などの注釈で表現する。
2.期末の決算書(あるいは収支計算書)の支出の部の最後の「次年度繰越金」科目に計上して表現する。ただし、当期収支差額はゼロになります。
この「次年度繰越金」へ計上するときは、「負債」の部(本来なら「純資産の部」でしょうが...)の「剰余金」あるいは「繰越剰余金」という科目を作り、これを使います。
振替伝票にて、現金及び預金の期末残高や期末に残留している経過勘定(未収金、未払金...など)で、以下の仕訳で入力します。
【例】期末の貸借対照表が以下のような場合 (スマホの方は横向きでご覧ください。)
資産(借方) | 負債(貸方) |
---|---|
①現金 8,000円 ②普通預金 1,524,992円 ③未収金 10,000円 | ④未払金 6,000円 剰余金 0円 当期正味財産 1,536,992円 |
資産合計 1,542,992円 | 負債及び正味財産合計 1,542,992円 |
振替伝票にて以下の仕訳を入力します。
借方 | 摘要 | 貸方 |
---|---|---|
①次年度繰越金(支出) 8,000円 ②次年度繰越金(支出)1,524,992円 ③次年度繰越金(支出) 10,000円 剰余金(負債) 6,000円 | 現金の残高(資産) 預金の残高(資産) 未収金(資産) 未払金(負債) | 剰余金(負債) 8,000円 剰余金(負債) 1,524,992円 剰余金(負債) 10,000円 次年度繰越金(支出)6,000円 |
「次年度繰越金」及び「剰余金」を計上したあとの貸借対照表
資産(借方) | 負債(貸方) |
---|---|
①現金 8,000円 ②普通預金 1,524,992円 ③未収金 10,000円 | ④未払金 6,000円 剰余金 1,536,992円 当期正味財産 0円 |
資産合計 1,542,992円 | 負債及び正味財産合計 1,542,992円 |
ちなみに、その後の新年度での開始仕訳は、
借方 | 摘要 | 貸方 |
---|---|---|
①現金(資産) 8,000円 ②普通預金(資産)1,524,992円 ③未収金(資産) 10,000円 前年度繰越金 6,000円 | 現金の残高(資産) 預金の残高(資産) 未収金(資産) 未払金(負債) | 前年度繰越金(収入) 8,000円 前年度繰越金(収入) 1,524,992円 前年度繰越金(収入) 10,000円 ④未払金(負債) 6,000円 |
2017.11.24
期末を迎え、新年度を迎えるための手順
年度の変わり目は、会計係さんが一番忙しい時期です。
いつも通りの仕訳の処理をしながら、決算資料を作り、監査や総会の準備をしなければなりません。
初めての決算であればなおのこと、何をしなければならないかわからないと思いますので、
一般的な期末の作業を手順を追って説明します。
期末日までにすること
手元に現金がある場合、期末日までに全て銀行に預けてしまうことをオススメします。
現金を持っていると、期末日に本当はいくらあったか証明してくれるものはありません。
一方、銀行に預けてしまえば、期末にあった金額は通帳を見れば一目瞭然です。
新しい年度の期首日を迎えたら
新しい年度の期首日を迎えた後、監査・総会を経て決算が確定するまでは時間があると思います。
その間、終わった年度の決算処理をしつつ、新しい年度で発生した仕訳を入力する、という並行作業をすることになります。
「会計係さん7」を使っている場合、並行作業の準備として以下の作業を実施します。
- 「当年度」に、残った仕訳を全て入力する
- 資産・負債の残高を確認する(繰越額の確認)
- 「次年度」に「開始仕訳」を入力する(期首残高の設定)
これで、「当年度」も「次年度」も入力ができる状態になりました。
決算書の作成は「当年度」で、新しい年度の予算書や、期首日以降に発生した仕訳は「次年度」で入力することで、二つの年度の作業を並行して行えます。
監査・総会を終えたら
監査を経て総会を終えたら、もう「当年度」に入力するものはありません。
データバックアップをして、「年度の繰越」を行いましょう。
(詳細な手順は運用編マニュアル11章の「監査の準備と繰越」をご覧ください)
繰越後は、また次の期末がやってくるまで「当年度」へ仕訳を入力していきます。
2017.11.24
基本の仕訳:新年度の残高を設定する(開始仕訳)
新年度の期首残高を設定する(開始仕訳)
例)昨年度の期末残高は現金2,127円と普通預金713,504円
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
現金 | 2,127円 | 前年度繰越金 | 715,631円 |
普通預金 | 713,504円 | ||
715,631円 | 715,631円 |
解説
前年度の期末の残高を収入として計上することで、現預金などの資産の残高を設定しています。
この伝票がないと残高がゼロでスタートしてしまいます。
新年度開始時には必ず開始仕訳を入力してください。
来年分の会費の前払い(前受金)などの負債がある場合は「来年分の会費を先払い(前受金の仕訳)」もご覧ください。
2017.11.24
来年分の会費を先払い(前受金の仕訳)
来年の会費を先払い、というパターンは結構多いようで、当社でも何度かご質問頂いております。
この場合、当年度から次年度にまたがって処理していく必要があります。
面倒かもしれませんが、
お金の動きを
動いた日に
ありのままに書く
のが基本です。
お金を受け取った以上帳簿に書かないわけにはいきません。
間違いのない帳簿を作るためにも、頑張って処理しましょう。
1.来年度分の会費を受け取った
※ある会員さんより50,000円が来年度分として振り込まれた
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 (資産) | 50,000円 | 前受金 (負債) | 50,000円 |
この仕訳をすると、普通預金(資産)は増えますが、前受金(負債)も増えます。
資産は増えたけど(+)、負債も同じだけ増えた(-)ので、プラスマイナスゼロで実質お金は1円も増えていないよ、という仕訳になります。
間に収入の科目を挟んでいませんので、当然当年度の収入としては現れません。
2.新年度の開始仕訳
※当年度から引き継いだ資産は普通預金300,000円、現金30,000円
これには、来年度分の会費として預かった前受金50,000円が含まれる
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 (資産) | 300,000円 | 繰越額 (収入) | 330,000円 |
現金 (資産) | 30,000円 | ||
繰越金 (収入) | 50,000円 | 前受金 (負債) | 50,000円 |
前2行は、資産を新年度に引き継ぐ仕訳です。
預金と現金、合わせて330,000円を当年度に引き継いでいます。
ここまではよくあるパターンですのでそんなに難しくはないと思います。
しかし、このお金の中には50,000円の前受金(負債)が含まれています。
330,000円全部を繰越金とするわけにはいきません。
そのため、最終行で繰越金から50,000円を取り除き、前受金へと振り替えます。
3.前受金を会費に振り替える
※前受金50,000円を、新年度の会費として計上する
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
前受金 (負債) | 50,000円 | 会費 (収入) | 50,000円 |
最後に、前受金と会費を振り替えます。
ここまできてやっと、新年度の収入に50,000円が計上されます。
年度末から始まった処理は、これで完了です。
会費の先払い以外にも「年度末に来年度分の助成金が振り込まれた」等、前受金の出番は案外あるものです。
年度の境目で担当者の交代、という自治会さんは多いと思いますが、
「年度末にはあった前受金が、新年度にない(繰越漏れ)」
なんてことにならないよう、前受金のような負債の存在も、忘れず申し送りするようにしてください。
2017.11.20
監査の準備とは?
まずは会の規約をご確認ください。
監査時に必要な帳票類について記載されている場合は、それに従います。
必要な帳票の一例
- 決算書
- 各種伝票と証憑類(領収証など)
- 会計年度内全ての科目の総勘定元帳
- 最終月の試算表・貸借対照表
「会計係さん7」で証憑類以外は全て準備できます。
「財産目録」などが必要な場合は別途用意することになります。
「もう監査なんて恐くない」 A4判5ページでまとめてみました。